オウンドメディアの運用で
文章の「トンマナ」が重要な理由
コンテンツディレクターの宇佐美です。みなさんは「トンマナ(トーン&マナー)」という言葉をご存じでしょうか? 意味は知っているという方でも、それがなぜ重要なのか、トンマナを統一しないとどのようなデメリットがあるのか、についてはよく分からないという方も多いのではないかと思います。
ではさっそく、オウンドメディアの運用に際して文章のトンマナが重要な理由について掘り下げていきましょう。
トンマナとはすなわち、「秩序」である
「トンマナ(トーン&マナー)」は、文章やデザインなどの表現における一貫性・統一性を保つためのルール(秩序)のこと。小学館のデジタル大辞泉では、「主に広告やブランド戦略における、デザインやメッセージなどの一貫性、統一感」と解説されています。もともとは広告業界や出版業界などで使われていた専門用語ですが、オウンドメディア制作やブログ執筆などが手軽にできるようになったことで、こうした言葉も一般的に使われるようになってきました。
トーン(tone)は英語で「調子」、マナー(manner)は同じく英語で「やり方」「様式」を意味する言葉。つまり「トーン&マナーを統一する」というのは、「表現がもたらす雰囲気や世界観を合わせる」ことと同じです。他と区別できるような固有の特徴を持ったもの、もしくは価値の高い製品・サービス・会社などを「ブランド」といいますが、ここでいうブランドには必ず徹底したトーン&マナーがあります。
問い合わせやファンを獲得したいなら統一は必須
トンマナを理解するにあたっては、まず「デザイン」をイメージすると分かりやすいかもしれません。あなたが、とあるオウンドメディアの記事を読んでいたとしましょう。そしてふと別の記事が気になってリンクをクリックしてみたら、背景の色味や見出しのデザイン、本文のフォントなどがまるっきり違うページが突然現れた……。あなたはきっと混乱するでしょう。少々極端ですが、これが「トンマナが統一されていない状態」です。
この無秩序な状態によってユーザーに「読みにくい」「信用できない」と思われてしまったら、サービスに対する相談や問い合わせをもらうことはできません。当然、メディアのファンになってくれる可能性も低いでしょう。トンマナを統一しないデメリットは、まさにこれです。自社サービスへの問い合わせや自社ブランドのファンを獲得したいなら、オウンドメディアのトンマナ統一は必須といえます。
「キャラナビ!」に見る具体的なトンマナ事例
デザインだけでなく、「文章」においてもトーン&マナーの統一は重要です(今回の肝はこっち)。ここでは、人材業界大手のパソナが運営するオウンドメディア「経理キャラナビ!」を参考に、具体的なトーン&マナーの統一方法について見ていきたいと思います。
この「経理キャラナビ!」には、ナビゲート担当として特徴のある5人(?)キャラクターがいます。それぞれのキャラクターがトーン&マナーの統一によって文字通り「キャラクター(個性)」を守っており、読みやすい文章を介してユーザーの理解を促してくれます。
例えば火曜のキャラ、財前サバ夫の場合は以下のような点が統一されています。
- 一人称は「オレ様」、二人称は「お前たち」「お前ら」で上から目線
- 「~だぜ」「~しておけよ」「分かったか?」などのぶっきらぼうな口調
- 「~だよな?」「~じゃねぇか?」などのユーザーへの適度な問いかけ
- 威張り口調でも、ユーザーや派遣という働き方、他のキャラクターなどは叩かない
文章のトンマナを守るという作業は、経理キャラナビ!でいう「書き手のキャラクターを守る」作業に似ているかもしれません。
とくに統一を意識したい基本的な項目とは?
徹底すべき文章のトーン&マナーを挙げていくと本当にきりがないですが、なかでもとくに注意しておきたい基本的な項目をリストアップしてみました。
文体の統一感
「だ」「である」といった語尾と「です」「ます」調の語尾が混在していると、世界観がぶれて読み手側に違和感が生じます。
表記の統一感
「彼」と「カレ」や「あなた」と「貴方(貴女)」が同ページにあると、その代名詞が同じ人物を指しているのかが分かりにくくなります。
テイストの統一感
「ご質問いただけますと幸いです」という硬い文章と「みなさん、ぜひ来てくださいね!!」というフランクな文章の混在も不自然です。
段落・改行の統一感
1段落のボリュームや改行の頻度に大きな違いがあると、ユーザーは読みにくさを感じます。ある程度の統一感が欠かせません。このコラムを見ていただければ分かるかと思います。
まとめ
設定したトーン&マナーに準拠しながら記事を増やしていくことは、さほど難しい作業ではありません。重要なのは、目指すべき雰囲気や世界観を最初の段階で作り手がしっかり思い描いておくこと。トンマナがもたらすブランディング効果を戦略的に活用し、オウンドメディアのブランド価値を高めていきましょう。
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